バイク便ではなく、人間が鉄路を乗り継ぎ直接お届けする「ハンドキャリーサービス」もご提供しています。ご予算やご要望の必着時刻、お届けする地域により「オートバイ」「飛行機へ搭載」「ハンドキャリー」かを限られた時間内で判断させて頂きます。
By-Qのオペレーションセンターには時刻表が常備されています。ビニールのカバーをかぶせていますが、月末頃にはもうボロボロになってしまいます。
今はインターネットで、飛行機から鉄道、フェリーに至るまで便利に調べる事ができますが、現場のスタッフ達は「紙が一番!」と皆言っています。
JR時刻表という題名ですが、この一冊で鉄道から飛行機、高速バスの時刻も調べる事ができます。
付箋が付いているページがあったので開いてみました。誰かが付箋をはがし忘れたようです。
福島県か山形県あたりで格闘していた形跡があります。新幹線を下車し、何時の在来線に乗り継げるのか、ハンドキャリースタッフは今日中に帰京できるのか、たぶん色々な事を時刻表から読み取ってお客様へご提案させて頂いたのでしょう。
ウルトラCのような乗換えを駆使し山奥の駅へ、という例もありました。まるで西村京太郎さんの「十津川警部シリーズ」の世界です。
ハンドキャリー配送員の中には、超高レベルな「鉄道オタク」もおり、オペレーションセンターからの細かな指示がなくとも自らで「乗換えのウルトラC」を連発する者もいるようです。
バイク馬鹿の私にとっては、余りに奥が深い世界です。
By-Qではハンドキャリーの全世界版「海外ハンドキャリー」もご提供しています。同じオフィス内に海外セクションがありますが、時々お客様との電話応対の様子が聞こえてきます。
「ヒューストンで乗り換えてオースチン到着が・・・」という声が。
こちらも相当奥が深そうです・・・。
日本では三度目の鉄道ブームが訪れているそうです。女性の鉄道ファンも増えているようで「鉄子」という言葉も生まれました。
By-Qでも「鉄」人間が多く在籍しています。基本はオートバイを生業としていますが、状況によって「鉄路」の配送手段を古くからご提供しており、By-Qの伝統となっています。
オートバイで走るか、荷物を持ち電車へ乗り込むか、25年の歴史で蓄積されたノウハウは相当な量なのですが、良質サービスを生み出す原動力の一つが「鉄」な人々なのです。
東京から九州などといった長距離大至急のご注文から、都心エリアをレール上で移動し配送するパターンまで、バラエティに富んでいます。
都心部なら電車移動よりオートバイの方が圧倒的に早いようなイメージがありますが、ベテラン「電車ライダー」は全く遜色なく、時には上回るスピードで配達を完了させます。
秘密がいくつかあるようです。
電車のスピードは変えられませんから、タイムアップの秘密は以下の通りなのだそうです。
1.都心部の地理知識。お客様のビルから最寄り駅まで位置関係の把握。
2.徒歩で移動する時の速度。
3.交通網の完全把握。乗換えに時間を要する駅はパスし、一般人から見ると一見して遠回りなルートを選択する場合も。
4.地下鉄駅の膨大な数の出入り口を把握。
5.電車の連結車両と出口や乗換え位置関係の把握。
発車ぎりぎりで滑り込み乗車、瞬時に目的駅での出口位置を考え最も近い車両へ移動し、迷路のような駅構内でお届け先に最も近い出口を選ぶ。
もはや職人芸です。
オートバイが駐車する場所を探してこずっている傍らを、悠々と徒歩で通り過ぎる光景を見かける事もあります。
駅からお客様まで、とても距離がある場合はもちろんバイクが早いです。その切り分けを助けているのがBy-Qのコンピューターシステムです。
1日何千件のご注文を、駅とお客様の相関位置を計算して「バイクライダー」「電車ライダー」の区別を処理しています。
「電車ライダー」にまつわるエピソードはお伝えできないほどの数があります。カテゴリー「2.鉄道」では色々とご紹介してまいります。
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この記事を書き終える直前、近くのデスクに座る社員が『東京の世田谷区から成田空港第一旅客ターミナルまで大急ぎのお届け』というご注文の応対を開始しました。
お荷物の内容は「パスポート」
搭乗手続きのリミットまであと2時間弱です。
道路交通情報を表示するモニターは、首都高速道路のほとんどの路線が大渋滞を示す赤色です。
間に合うのか・・・。受話器向こうのご依頼主はかなり切迫された様子のようです。
渋滞を考えて「電車ライダー」と「バイクライダー」のリレーをするか。
結局、担当ライダーさんと打ち合わせの結果、バイクで走りきることにしました。関わったスタッフ全員が気を揉みましたが、タイムリミット十数分前に無事パスポートをお引渡しできました。
明日から大型連休。皆様もお怪我ないようエンジョイなさってください。